補完医療
アルツハイマー病もフィトケミカルで予防
アルツハイマー病のリスクを低減する食品
・Archives of Neurology(2010; オンライン版)
みなさんこんにちは。
アルツハイマー病について興味深い論文が発表されましたので、ご紹介させていただきます。
この論文は、ロンビア大学医療センター(ニューヨーク)よりの発表です。
「サラダドレッシング,ナッツ類,魚,ニワトリやシチメンチョウなどの肉,果物やアブラナ科の
野菜が多く,高脂肪の乳製品,牛・豚などの肉,臓物,バターの少ない食事を摂取している人
はアルツハイマー病(AD)を発症しにくい」
との研究結果が発表されました。
最近、さまざまな病気は食事と関係しているというのが常識になりつつあります。
しかし、毎日同じものを食べている人はいないので、こうした研究は本当に難しいんですよね。
このような地道な研究は本当に頭が下がります。
さて今回は、アルツハイマー病は食事が関係しているというお話をします。
Gu博士らは,ニューヨーク在住の認知症でない高齢者(65歳以上)2,148例を対象に調査しました。
研究に参加した人から食事に関する情報を収集し,認知症を発症しているか否かを1年半ごとに
評価し,平均4年間追跡しました。
その際,飽和脂肪酸,一価不飽和脂肪酸,ω3脂肪酸,ω6脂肪酸,ビタミンE,ビタミンB12,
葉酸といったアルツハイマー病リスクとの関連が明らかにされている7種類の栄養素の摂取量が
それぞれ異なる食事パターンを検討。
その結果,アルツハイマー病リスクの低減と有意に関連している食事パターンが認められました。
この食事パターンでは
サラダドレッシング,ナッツ類,魚,トマト,ニワトリやシチメンチョウの肉,
果物,アブラナ科の野菜や濃緑色の葉野菜が多く摂取され,高脂肪乳製品,赤身の肉,
臓物,バターの摂取量は少なかったことです。
同博士らは
・ビタミンB12と葉酸はホモシステイン関連ビタミンで,血中ホモシステイン濃度を低下させることでアルツハイマーに影響を及ぼす。
・ビタミンEは,強い抗酸化作用によりアルツハイマーを予防する。
・脂肪酸はアテローム動脈硬化と塞栓症,炎症による脳の発達や膜機能への影響,βアミロイドの蓄積を介して認知症・認知機能と
関連していると指摘しました。
こう考えると、ハーブでも同じような効果が得られるのではないかと思います。
ハーブは5大栄養素+ビタミン・ミネラルが豊富ですし、あらゆるハーブは抗酸化作用をもつ
フィトケミカルが入っています。
ですので、バランスのよい食事を毎日摂取するのは難しいかもしれませんが、
ハーブティーとしてであれば、誰でも実行できるのではないでしょうか?
ちなみにアルツハイマー病にエビデンスのあるハーブは「銀杏(いちょう)」です。
高齢化社会において、認知症は深刻な問題です。
私が臨床現場で問題だと感じるエピソードがあります。
子育てが終わりようやく自分の時間が持てたと思ったら,
両親が認知症で介護の日々が続く人がいるということです。
残念ながら認知症の特効薬はありません。
ですので、認知症を予防できるかどうかはまだ分かりませんが、
少なくとも何らかの努力はしていきたいですね。
今日の健康術
誰もが食事は大事だと知っていても、健康の要素は食事だけではないですから、
食事のほかに様々な要因があることも忘れてはいけません。
食事だけよければ病気にならないかというとそうではないのです。
●●はアルツハイマー病に有効という記事があっても、それだけしていてもだめなんです。
いいものをどんどん取り入れていきましょう!!
補完医療
紅茶でも糖尿病予防ができる!!
紅茶でも糖尿病予防が証明
・Archives of Internal Medicine 2009; 169: 2053-2063
みなさんこんにちは。
本日のお話は糖尿病予防に紅茶が有効であるお話です。
紅茶をふくむお茶療法は非常に優れているのは実証積みです。
緑茶が糖尿病予防になることは周知のとおりです。
周知ではない?
もし初めて聞いたのでしたら、大きなスーパーで飲料売り場を覗いてみてください。
緑茶飲料の中で「血糖の上昇を抑える」という文字が書かれている、トクホ飲料があると思います。
今回、ご紹介したい論文は、「コーヒー(レギュラー,カフェイン抜きを問わず)または
紅茶を多く飲む人ほど2型糖尿病の発症リスクは低いことが示唆された」というお話です。
この論文はシドニー大学ジョージ国際保健研究所のRachel Huxley准教授らが報告しました。
日本をはじめとする先進国では、糖尿病は他人事ではありません。
2025年までに2型糖尿病を発症する人は全世界でおよそ3億8,000万人に達すると見込まれています。
しかし、治療薬はどんどん新薬が出るにも関わらず予防薬は?
と聞かれるとないですよね。
自分で食事や運動に気をつけるしかないのです。
しかし!!
ダイエットと一緒で簡単にできるものではありません。
なので、私はお茶療法を勧めます。
お茶療法から始めて、それでもダメなら医薬品も併用すればいいのではないでしょうか?
なにもしないのとは雲泥の差が出ます。
これはハーブ外来や一般外来で実証できています。
この准教授は適切なコメントをしています。
「糖尿病に関する論文は相当数あるにもかかわらず,特定の食習慣やライフスタイル
といった要因がどのような役割を果たしているかは依然として不明である。」
本当に適切ですよね~。
だからこそ、現代医療と補完医療の融合が大事なのです。
本研究では、1966~2009年に発表された論文から,糖尿病リスクとコーヒー摂取についての
18研究(45万7,922例),カフェイン抜きコーヒー摂取についての6研究(22万5,516例),
紅茶摂取についての7研究(28万6,701例)を検討しています。
分析結果では,1日のコーヒー摂取量が1杯増えるごとに糖尿病のリスクは7%減少することが判明しました。
また,1日に0~2杯飲んだ者に比べ,1日に3~4杯飲んだ者ではリスクが約25%低下しています。
カフェイン抜きコーヒー摂取についても,全く飲まなかった者に比べ1日に3~4杯以上飲んだ者では
糖尿病リスクが約3分の1低かったのです。
さらに紅茶に関しても,全く飲まなかった者に比べ1日に3~4杯以上飲んだ者のリスクは約5分の1低かったのです。
以上のように素晴らしい報告がされました。
この論文では、理由はマグネシウムやリグナンおよびクロロゲン酸として知られる抗酸化薬などの化合物が
関係している可能性があると説明しています。
でも私はまだ解明できていないフィトケミカルの力だと思っています。
ですのでハーブティーであれば、すべてのものが糖尿病予防になるのではないかと考えています。
フィトケミカルの効果をもっと知ってもらえば、糖尿病に罹患しているか,
または将来発症するリスクのある何百万人もの人々にとって大きな意味を持つのです。
今日の健康術
病気予防は手軽にできるものでなくてはいけません。
そこで私が勧めるのは「お茶療法」です。
特に、コーヒーや紅茶でもいいのですが、お勧めするのは緑茶(粉茶)です。
緑茶に砂糖やミルクを入れる人はいないですし、日本人の体質には緑茶が合っているのです。
ぜひ日常からお茶を取り入れる習慣を身につけてください。
補完医療
うつ傾向になっていませんか?【5月病対策】
もう五月が終わろうとしていますが、まだまだ気分がすっきりしない人が多いのではないでしょうか?
軽い気分障害は梅雨前に解決しておきたいものです。
そこで、俗に言われる「5月病」に対してお話したいと思います。
ゴールデンウィークが明けると話題に上るのが『五月病』です。
はじめは大学生に見られた症状のことで、入学して慣れてきた頃に
現れるのが特徴だったため『五月病』といわれるようになりました。
しかし近年では大学生より社会人に多く症状が出るため『新五月病』
、『六月病』ともいわれるようになりました。
そして、その数は増えているようです。
※この『五月病』『六月病』という言葉は正式な病名ではなく、
医学的には『適応障害』『うつ病』と診断されます。
この五月病の主な原因とは?
考えられる原因は下記の通りです。
●生活のリズム、環境の変化に心身ともについていけない
●新しい人間環境をうまく作れない
●次の目標が見つけられず、無気力になったり焦燥感を感じたりする
●想像や希望と現実のギャップ
しかし、このような状況はどんな人にもあることです。
では、どのようなタイプの人が五月病になりやすいのでしょうか。
一般的には、『 神経質、几帳面、完璧主義、内気、真面目 』な人が要注意です!!
ただし、以上のような気質や性格は誰でも多少なり持っているものです。
よって『五月病』は誰でもなりうる可能性があるということです。
症状が軽い、重いの違いはありますが、気になる症状が現れてきたら
早めの対処が必要です。
重度のものでしたら、医療機関を受診すべきですが、軽いうつ傾向の人もたくさん存在します。
こうした病院へ行くほどでないが、何となく気分が優れない人のためにお勧めのセルフケアをご紹介致します。
●ハーブ
不眠の症状やストレス緩和にお勧めのハーブはジャーマンカモミールや
リンデンです。
また神経疲労にビタミンC補給は効果的と言われます。
そこでローズヒップ(ハイビスカスとブレンドするとよりよりGood)や
オレンジピールも取り入れることで疲労感が解消されることも。
また体も気持ちもリフレッシュさせてくれるペパーミントやレモングラスを
ベースに、自分の気になる症状やその日の気分でハーブを選んでみましょう。
五感を働かせてゆっくりと頂くことがさらにハーブの効果をアップさせる
ポイントです。
●アロマセラピー
オレンジやグレープフルーツ、ベルガモットなどの香りは、不安やストレスや
緊張をほぐし気持ちを明るくしてくれます。
また眠れない夜にはラベンダー、カモミール、イランイランなど気持ちを
落ち着かせるのに役立つ香りを上手に取り入れてみてはいかがですか?
朝や仕事の前などリフレッシュが必要な時には、ローズマリーやペパーミント
、ユーカリの香りを利用して気持ちをすっきりさせるのも良い方法です。
●ヨーガ
近年では健康や美容のために行う人が増えています。
ポーズをとりながら筋肉を緊張・リラックスさせることで心身のバランスを
とっていきます。
呼吸法や瞑想、ポーズをとる(体操をする)ことは自分の内側の変化を感じ取る
訓練でもあります。
自分自身と向き合い、理解・受け入れることで気持ちを入れ替えることができます。
●運動
軽い運動(軽めのジョギング、少し早めのウォーキング)や好きなスポーツを
することは、ストレスの発散に役立つと共に「目標を達成する」という達成感を
味わうことができます。
また適度な疲労感は、快適な睡眠をもたらします。
その他にもホメオパシーやカラーセラピー、フラワーレメディーなど様々な方法があります。
もちろん食事法も大事な要素のひとつです。
自分に合う方法を見つけ、上手に取り入れましょう。
最後に自分に合った方法を見つけるには、まず「自分を知る」ことが必要になります。
頑張らないといけない時もありますが、頑張った後は「自分の体と心」に聞いてみます。
何が必要かが分かってくると思います。
そして辛い時はひとりで頑張らず、周りの友人や家族に相談したり助けてもらうことも「五月病」にならないための大切な方法のひとつです。
補完医療
植物繊維は大腸だけでなく肺にもよかった
植物繊維は肺気腫予防に効果的
■Varraso R, et al. Am J Epidemiol 2010; 171: 776-784.
こんにちは。
本日は食物繊維についての話です。
食物繊維は便通がよくなり、大腸癌予防に効果的と言うことは周知の通りです。
しかし肺にもいいということが分かりました。
この研究は米ハーバード大学のグループより発表されました。
タバコや汚い空気を長年吸うと肺によくないと言うことは想像するまでもないですよね。
こうした汚い空気を吸っていると、いったいどうなるか?
肺が真っ黒になり、肺がんのリスクが高まります。
ほかに「肺気腫(COPD))」という病気になります。
肺気腫の症状は階段の上り下りや軽い運動で呼吸が苦しくなったり、
常に痰が絡んだ状態になり、日常生活に支障を来すことがあります。
町中で酸素を持って歩いている人の多くが、この肺気腫である可能性が高いです。
今回、繊維の多い食物,特に穀物類を加工したシリアルに含まれる繊維の摂取が
肺気腫の発症リスクを低下させる可能性があると発表されました。
この研究では11万1,580例もの人間を対象にしています。
方法は、食物繊維全体と特定の繊維源(シリアル,果物,野菜)の累積平均摂取量を算出して
性別,年齢,喫煙習慣,エネルギー摂取,BMI,地域,受診歴,身体活動,糖尿病,
ω-3脂肪酸と加工肉の摂取を解析しています。
結果は食物繊維の総摂取量は肺気腫の発症リスクと関係していました。
呼吸器専門医の立場からは、この論文は非常に興味深いです。
食物繊維は野菜から効率よく摂取できます。
私はプリメントから摂取するのではなく、日常の食事から摂取するようにお伝えします。
それはなぜかというと、植物ですと栄養素だけでなく、体のバランスを整えるフィトケミカル
が摂取できるからです。
今日の健康術
植物繊維の多い食事を意識的に増やしてみましょう。
たばこを吸う人はもちろんのこと、都会に住んでいる人も同様です。
なるべくサプリメントではなく野菜で摂ることをお勧めします。
海外では、ゴボウのハーブが人気です。
ゴボウも歴としたハーブで、海外では「バードック」と言われています。
★お知らせ★
5月16日(日)に東京国際フォーラムで融合医療研究会を行います。
入谷もパネルディスカッションに参加をさせていただきます。
毎回、満席となるセミナーですが、のこり2席のようです。
今回の講師陣はすごいです。
メディカルハーブ協会副理事長の林真一郎先生
梅沢富美男さんの奥様で鳩山家と深い交流をもつ、フィトセラピーの池田明子先生
ホメオパシーのカリスマ、中村裕恵先生
どの先生も単独でも講演は満席になってしまうのですが、
今回は1日で聞けるというあり得ない勉強会です。
詳細は
補完医療
プロの料理人・調理師は特にがんリスクが高い!?
ステーキはガスより電気で焼いた方がよい
■Kristin Svendsen,et.al Occupational and Environmental Medicine 2010; 67: 228-232
おはようございます。
本日ご紹介したい記事はステーキの焼き方についてです。
といってもレア、ミディアム、ウエルダンといった焼き方のことではなく、ガスと電気ではどちらが体にいいのか?という興味深い論文です。
今回、ノルウェー科学技術大学(ノルウェー・トロンハイム)衛生環境安全学科・産業経済技術経営部門の准教授らが報告した論文からです。
結論は「ガスコンロで肉を焼くときに発生する煙は,電気コンロを使用したときよりも有害である」との事です。
つまり、プロの料理人・調理師は特にがんリスクが高い可能性があると指摘しています。
現在までの研究では、高温で肉を焼くときに生じる煙を“ヒトに対し発がん性を示す可能性がある”と言われていました。
その根拠は、大豆油,菜種油などの植物油およびラードを用いる際に発生する煙からは,微粒子や超微粒子と相まって,有害な多環芳香族炭化水素(PAH),複素環アミン,変異原性を有する高級アルデヒドが検出されているからです。
この超微粒子は,速やかに肺に吸収されることが知られています。
今回の実験では、典型的な西洋レストランの厨房を想定し,400gのステーキ用牛肉17枚をフライパンで15分間加熱調理する試験を行いました。
方法はマーガリンまたは2種類の大豆油のいずれかを用い,ガスコンロまたは電気コンロでステーキ肉を調理しています。
そこで料理人が呼吸すると思われるあたりで,空気中に含まれるPAH,アルデヒド,総微粒子物質の量を測定しました。
結果,電気コンロでなくガスコンロで加熱調理したときのほうが,超微粒子の発生量(最高値)は高かった結果が得られました。
この結論から、ガスより電気で焼いた方がよい、プロの料理人・調理師は特にがんリスクが高いという事に至ったのですが、実際の所は鵜呑みにしていいか疑問が残ります。
個人的な意見では、ガスで焼いた方が美味しいし、なかなか電気で調理する機会もないと思います。
さらに実際にプロの料理人の平均寿命が短いかというとそんなこともないと思います。
そこで考えられることは、プロの料理人はこれら有害物質もとる代わりに、フィトケミカルも摂ることで相殺しているのかもしれません。
一流料理人は野菜へのこだわりも半端じゃありません。
ただ単に美味しいということだけでなく、お客様や自分自身の体のことも考えて調理するからこそプロだと思います。
今日の健康術
子供の頃、「お肉を食べたら、野菜もとれ」とよく言われたものです。
肉が悪いのではなくて、バランスの崩れが悪いからだと、最近よく分かりました。
私は野菜ばかり食べている人は健康だとは思いません。
肉と野菜、魚などバランスなのです。
野菜の効率の良い摂り方に、「レインボーフーズ」を提唱しています
★お知らせ★
5月16日(日)に東京国際フォーラムで融合医療研究会を行います。
入谷もパネルディスカッションに参加をさせていただきます。
毎回、満席となるセミナーですが、のこり5席のようです。
今回の講師陣はすごいです。
メディカルハーブ協会副理事長の林真一郎先生
梅沢富美男さんの奥様で鳩山家と深い交流をもつ、フィトセラピーの池田明子先生
ホメオパシーのカリスマ、中村裕恵先生
どの先生も単独でも講演は満席になってしまうのですが、
今回は1日で聞けるというあり得ない勉強会です。
詳細は