2009年05月06日
鍼治療の鎮痛効果は低い

鍼治療の鎮痛効果は低い

デンマーク・コペンハーゲン
Matias Vested Madsen at al. BMJ 338:a3115:2009
 
おはようございます。
入谷栄一です。
 
本日は補完医療の大きなウエイトを占める「鍼」について考えてみたいと思います。
 
デンマークから衝撃的な論文が出ました。
 
具体的な内容は約3000人の患者を対象に試験しています。
疼痛の種類は変形性膝関節炎、偏頭痛、腰痛、術後痛などです。
これらの群を
①実際に鍼を施行した群
②偽の鍼を施行した群
③鍼を使用しなかった群
で振り分けています。
 
ここで有意差が出なかったため、「鍼治療の鎮痛効果は低い」という結論になりました。
 
しかし自分はこの論文に疑問を感じています。
もちろん結果は事実なので、データ上では確かに有意差はないのは事実です。
 
しかし、実際に自分が診療をしていて間近で効いている人が本当に多いです。
 
当然、筆者も効いている人がたくさんいるという事実があるから、科学的なデータをとってみようと試みたのではないかと思います。
 
しかし数値では、なぜ効果が出なかったのでしょうか?
 
いつも自分が思うことですが、人間の体は「数値では計れない」ということです。
 
医学学会において、年間数万を超える論文が発表されています。
全ていい結果が出ています。
にもかかわらず、本当に臨床に役立つ論文はごく僅かです。
(もしこれらの論文が優れていたら、世界寿命はもっと延びていると思います)
 
このことより、「鍼」が効かないという論文が1編でたからと言って、うのみにしてはいけません。
効いているという論文の方が遙かに多いです。
 
なので、この論文の使い方としては、鍼治療に疑問を思っている人がいるようであれば、止めるきっかけになるという程度でいいのではないでしょうか。
 
人間は衝撃的なうたい文句に、今までの経緯は忘れて信じてしまう傾向にあります。
草彅さんの逮捕も、今までの彼の功績が無かったかのように叩かれました。
しかし、酔っぱらってしまうことは日常でよくあることです。
罪は罪ですが、今までの彼の功績を忘れてはいけません。
 
鍼も同じことが言えると思います。
 
効いている人が多くいるのは事実ですので、自分がいいと思ったら続けてください。
 

本日の30代からの健康術

  • 衝撃的な論文に惑わされるな!!
« 前の記事 | 次の記事 »