2010年05月31日
「他人支配」をやめる!!

『「他人支配」をやめると幸せになる』黒岩貴著 小学館

皆さんこんにちは。

今日は医療従事者もしくは健康に携わる人に是非読んでいただきたい本をご紹介したいと思います。

この本のキーワードは「他人支配」です。

医療従事者によく陥りがちな「他人支配」は時として患者を不幸にさせてしまう。
さらに自分自身も不幸になってしまうということです。

この本は医療従事者向けには書いていないのですが、今の自分の仕事ぶりに当てはめながら読み進めると大きなヒントが得られます

「他人支配」とは?

自分以外の誰か(他人)あるいは組織・グループに対して、
「ああしなさい、こうしなさい」、
「これはいけない、あれはやめなさい」などと、
言葉や行動でコントロール(支配)しようとすうことです。

心の中で思うだけでも、立派な「他人支配」です。

そうすると、私たちはついつい日常で「この人はこうするべきだ、こうあるべきだ」と考えてしまっていますよね?

特に医療従事者はこの傾向が強いのではないでしょうか?

「食事に気をつけろ、運動をしろ、たばこを吸うな」などなど、これも一種の「他人支配」ですね。

しかしこうした「他人支配」が行き過ぎると、双方が不幸になってしまいます。

ではどうしたら幸せになるか?
 

本書はこうした他人支配が不幸になる原理や対策が書かれています。


●「相手のため」は本当?

「他人支配」は思う側の身勝手な思い込みに過ぎないのです。

たとえそれが「正しいこと」、「相手のため」だと思えたとしても・・・・。
この結果生まれるのが人間関係のトラブルなのです。

あらゆる人間関係のトラブルには、一方あるいは双方の「他人支配」が存在します。

例を挙げると
親;「子供は遊んでばかりいないで勉強するべきだ」
子;「親は子供の自由を認めるべきで、勉強しろとうるさく言うべきではない」
どちらの意見も正しいのです。
でも視点が違うから、争うこと自体に多大な労力を使ってしまいます。

ここで考えてみてください。

いまから当たり前のことを言いますよ!!

相手が思い通りではないのは当たり前。
相手には相手の事情があり、人生があり、またその人なりの欲求もあります。
自分の欲求を叶えてくれるためにまわりの人が存在しているわけではない。

このことに気がつかずに、いつまでも求めているばかりでは、自分も相手も傷つくだけです。

よくありがちな例では

愛してほしいのに愛してくれない。
優しくしてほしいのに優しくしてくれない。
話を聞いてほしいのに聞いてくれない。

すべて、相手に求めることばかりです。

そして現実の相手がその通りではないため、そのギャップに苦しみ、相手を憎んだり遠ざけたりして、結果、孤独を感じてしまうのです。

自分から相手を理解しよう、何かしてあげよう、何か自分にできることを考えようという生き方に変えたときに、初めてみんなが幸せになるのです。

これを医療の現場に置き換えてみましょう。

「食事はこうしろ、運動はしろ、たばこを吸うな」
と当たり前のことを言ってもお互いに不幸になるだけです。

医師;「患者のためを思って言っている」
患者;「そんな当たり前のことを言われても、できないから病気になったんだよ」

お互いの言い分はもっともです。

こうした状況は日常茶飯事です。

こうした「他人支配」をしているうちは本当のいい治療は不可能なのではないでしょうか?

誰もが、食事や運動の大切さ、たばこの有害性は重々知っています。

なので、お互いに妥協できる範囲で話を進めていかなければなりません。

私の例で言いますと、医薬品を飲むほどではない場合、1日数杯のお茶と1階程度の階段であればエスカレーターを使わないなどを提案します。

患者も健康になりたいという同じ目的で受診しているので、話し合えばちゃんとできる人が多いのです。

この「他人支配」をやめた結果、めざましい効果をあげているのです。

現代医療は、「この薬を飲んで!!」という、一方的な対処療法になることが多いです。

しかし医療の本質には、

個々の人間ありきで、医療従事者が指導するという考え方ではなく、

平等かつできることから話し合うことが本当に重要です。

 

最後に、本書で大事なところを抜粋して終わります。

●人生は寛容になるためにある
人間の成長とは、どれだけ人に寛容になれるか、どれだけ人を許せるか、どれだけ人に優しくなれるかということに尽きます。人生はそのためにあります。
人生に起きるすべてののこと、すべての人間関係はそのためにあるのです。

●「べき」は捨てるべき。
「べき」を捨てる「べき」だというのも、結局は「他人支配」である。自分では「他人支配」はいけないとわかっているつもりでも、他人の「べき」が気になるようであれば、まだ、自分も完全には「べき」を手放せていないということ。

まず、相手を許す
次に、自分を許す
すると自信が持てます。

『「他人支配」をやめると幸せになる』黒岩貴著 小学館

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